飛行機の中では動かなかったし、機内食も適当に食べたので、夜はピッツェリアに行ってピザでも食べよう!と言っていた私たちは「ノー」と言った。
続いて「どこに行くのか?」てなことを聞くので、私が「そのへん」と答えると、オヤジはやおら「待て」と手をかざして、引き出しやらノートやら何やらをひっくり返してばさばさと書類を落とし、そして奥の部屋に引っ込んだり出てきたりし、ついに見つけた名刺カードの束を満足そうにめくり始めた。
私は店でも紹介してくれるんだなと思った。カードを受け取って、行かなくても別にいいやと思っていた。こっちがくれって言ったんじゃないもん。
が、オヤジの首がひねられ、「OK」みたいなことを言って、フロントカウンターから出てきた。何が起こるのかと思って見ていると、オヤジはにこっと笑って私たちをホテルのドアに導いた。げ、道でも教えられるのかな、どうせ早口で聞き取れんぞと思っていたら、オヤジはホテルの斜め前のレストランを指さした。 |