鍵を持たないまま自動施錠のドアを閉めてしまう。これはよくあるトラブルです。
フロントで「ロックアウト」と悲しそうに言えば、合い鍵を貸してくれます。
非常に簡単。誰でもしのげます。

が、麻呂はフランスの田舎で、ベランダ・ロックアウトを体験しました。 ベランダの眺望が売りのホテルでした。朝、景色を見ようとベランダに出たところ、部屋の中は暖かかったのですが、外はけっこう冷えていたので勢い良く窓ガラスを閉めました。がちゃり、と音がしました。ロックアウトです。

部屋は2階でしたが、地面までは3メートル以上あります。飛んでも命は大丈夫でしょうが、足は折れそうです。困りました。

窓からの眺望を売りにするため、その方向にはただ庭が広がっているだけでホテルの人も通りません。
駐車場もありません。そして向こうには霧に煙るモンサンミッシェル。

しかし麻呂は神に見放されていませんでした。
隣の部屋でも眺望を楽しもうと、人が出てきたようです。耳を澄ますと、どうやら日本人。
ベランダの壁越しに事情を説明し、隣の部屋を通ってフロントへ。 しかしまだ解決はしません。
普通、ロックアウトでは部屋の内側からの鍵なんてかかっていません。
が、この場合、部屋から出てないので室内側からの鍵がかかっていたのです。
電子ロックは合い鍵で開きますが、内側からの鍵は無理です。
また麻呂はフロントに引き返し、事情を説明してホテルの人に別の鍵を持ってきてもらったのでした。
「You Jumped?」（ベランダを飛び越えて来たの？）と尋ねた彼女の顔が忘れられません。

ロックアウトはベランダでも起こり得ると、心しておきましょう。