麻呂は実際、遭遇しました。最初は警官らしき服を着たでっかいお兄さんが一人でやってきて、「ポリース、ポリース」と言いながら、荷物や財布をチェックするから見せろ、とか言うのです。麻呂はまだ疑いを知らない素直な旅行者だったので、素直に出しました。が、財布には小銭しか入ってない。偽ポリースは、眉間にしわを寄せ、仕方のない日本人だな、とポケットから一万円札(本物)を出して、
「こういうのを持ってないのか」
と聞くのです。麻呂は貧乏なのでそんなもの持ち歩きません。
偽ポリースは「しょうがないなぁ」と思ったらしく、シッシッと手を振って、
麻呂を追い払ったのです。それが偽警官だと知ったのは、その後でした。
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